宇宙航空研究開発機構（JAXA）と株式会社QPS研究所は、2023年7月21日に合成開口レーダ（SAR）データの軌道上画像化に成功しました。これは、QPS-SAR 6号機「アマテル-Ⅲ」に搭載された「軌道上画像化装置」によるもので、従来地上の計算機で行っていたデータ処理を、高速処理が可能なFPGAに適したアルゴリズムに書き換えて装置化したものです。
本装置は、2023年6月13日に打ち上げられた「アマテル-Ⅲ」に装着し、軌道上での技術実証を行っています。初期チェックの一部として、衛星内に格納されたSARデータに対し、軌道上で画像化処理を実行し、高速（約23秒）での画像化に成功しました。さらに圧縮処理を行い、地上への送信データ量を生データ送信時の1/1000以下（0.0845%）に圧縮し、SAR画像の入手時間を大幅に短縮しました。
この技術実証により、ユーザーからのリクエストからSAR画像提供までの即応性が向上し、QPS研究所が目指す36機の小型SAR衛星コンステレーションによる準リアルタイムの観測データ提供の実現に一歩近づきました。新たな価値の創造や社会課題の解決、新しいビジネス展開が期待されます。
今後、JAXAとQPS研究所は、軌道上実証結果の詳細解析を進め、「アマテル-Ⅲ」で取得したSARデータの軌道上画像化処理を続けます。
https://www.jaxa.jp/press/2023/07/20230721-1_j.html