日本のJAXAの発表によると、国立研究開発法人宇宙航空研究開発機構(JAXA)は英国宇宙庁(UK Space Agency)と共に、H3ロケットに適用する静止衛星Lバンドネットワークを用いた軌道上テレメトリ中継サービスの開発プロジェクト「InRange」に関して、日英二国間の協力を開始することに合意したと発表しました。この協力は、両宇宙機関間で2021年に締結した協力覚書(MoC)に基づくものとなります。

「InRange」プロジェクトは、Viasat社の静止衛星Lバンドネットワークを用いた、打上げロケット用の新しい軌道上テレメトリ中継サービスの開発を目指しています。英国宇宙庁は、International Bilateral Fundの仕組みを通じ、Viasat社に対し、開発資金の一部負担を行います。日本においては、JAXAが担当するH3ロケットのテレメトリ送信機及びアンテナ開発について、三菱重工業株式会社がJAXAからの契約に基づき開発業務を請け負います。

「InRange」は、Viasat社の静止衛星Lバンドネットワーク「ELERA」を利用し、ロケットの軌道上テレメトリを中継することによりロケット追尾を行うサービスであり、ロケット打上げにおける従来の地上追尾局への依存を軽減する効果があります。これにより、打上げ時に地上追尾局の可視範囲に依存することなく軌道決定することができ、打上げ軌道を最適化することが可能となります。

また、Viasat社と三菱重工業株式会社は、「InRange」の検証及びH3ロケットでの飛行実証を協力して実施します。さらに、NECスペーステクノロジー株式会社も本開発体制に参画し、H3ロケットに搭載されるLバンド送信機の設計を担います。JAXAは、日英の関係者と協力し、既存地上設備を「InRange」に対応させるための技術開発を行います。

本国際合意に係る英国宇宙庁・JAXA間の署名式は、2023年10月4日(水)、アゼルバイジャンで開催の74thInternational Astronautical Congress(IAC 2023 BAKU)において行われました。

以上がJAXAからの発表内容でした。関連リンクは以下の通りです。
H3ロケット: [リンク]
H3ロケット(宇宙輸送技術部門): [リンク]
H3ロケット試験機1号機の打上げ失敗に関する対応状況について: [リンク]
英国宇宙庁(UK Space Agency): [リンク]
International Bilateral Fund(英国宇宙庁): [リンク]

Source: https://www.jaxa.jp/press/2023/10/20231005-1_j.html