ヨーロッパのESAの発表によると、地球を周回する衛星からの信号を利用し、地球の環境情報を収集する新たなミッションが始まることが明らかになりました。このミッションでは、靴箱ほどの大きさの衛星「PRETTY CubeSat」が、次回のヨーロッパのVegaランチャーで打ち上げられ、新しい周波数と新たな観測角度を用いて、気候変動の進行速度をより精密に測定します。さらに、周囲の宇宙環境における放射線データも収集します。

PRETTY CubeSatは、地球上の氷床や海洋から反射した同じ衛星からの信号を受信するために、2つのパッチアンテナを前面に装備しています。衛星は、これらの信号を比較し、550kmの軌道高度から氷や海の高さを少なくとも50cmの精度で導き出します。また、ミニチュア化された線量計を使って、CubeSatが被曝する放射線を追跡し、将来の小型衛星の信頼性と持続可能性を確保するためのデータを収集します。

このミッションでは、新たなGNSS周波数が初めて使用されます。これは、ヨーロッパのGalileo衛星とアメリカのGPS衛星から送信される長波長のE5/L5を使用するもので、地上テストによりこの周波数帯の使用が優れた精度をもたらすことが示されたためです。

PRETTY CubeSatは、オーストリアのBeyond Gravity Austria、Seibersdorf Laboratories、Technical University of Grazからなる全オーストリアのチームによって開発されました。また、PRETTY CubeSatの放射線線量計ペイロードは、衛星システムに影響を与えるさまざまな放射線を測定し、全体的なシステムの信頼性を徐々に損なう「全電離線量」効果から一時的な「単一事象効果」までを把握します。

PRETTY CubeSatは、革新的な技術の早期宇宙試験を目指すESAのGSTPのFly要素を通じて支援されています。このミッションの一環として、今週のVega Flight VV23には、ESAのProba-V Companion CubeSatやEuropean Commission’s In-Orbit Demonstration/In-Orbit Validation Programmeを通じて飛行する複数のミッションが含まれています。

Source: https://www.esa.int/Enabling_Support/Space_Engineering_Technology/Vega_s_PRETTY_CubeSat_unlocking_satnav_for_Earth_data