パイロット訓練のDX促進

宇宙航空研究開発機構(JAXA)と日本航空(JAL)は、パイロット訓練のデジタルトランスフォーメーション(DX)を進める一環として、機長昇格におけるパイロットの成長過程を記述する確率モデルを構築したと発表しました。

近年、航空事故の発生率は低いものの、どのような状況でも冷静に判断し、回復する力を持つ「レジリエント」なパイロットの養成が求められています。特に、パイロットが連携して安全に業務を遂行するための認知力、判断力、対人能力などのノンテクニカルスキルの向上が重要視されています。

JALは、これまで国土交通省航空局と協力して訓練データ記録システム(CBCTシステム)を開発し、DXを推進してきました。今回、JAXAの航空宇宙工学における生存時間解析の知見を活用し、CBCTシステムに蓄積された数千フライト分のデータからパイロットの成長過程を記述する確率モデルを共同で構築しました。

この確率モデル化により、パイロットの成長過程に関する基本的な性質を定量的に表現でき、訓練インストラクターが被訓練者の改善の兆候や訓練効果を早期に認識し、より効果的な訓練を行うことが可能となります。また、訓練期間の短縮やパイロット不足の軽減も期待されます。

JALは、今回の成果をCBCTシステムに組み込むシステム開発を行い、より安全で安心な空の旅を提供するための先進的なパイロット訓練環境の実装を進めます。一方、JAXAは、今回の成果が一般的な成長過程にも応用可能であると考え、リスキリングなど社会的な需要の高まる様々な専門的分野での成長過程に応用し、社会のDX支援を推進していきます。

Source: PR TIMES