アメリカのNASAの発表によると、2024年に予定されているエウロパクリッパーという探査機は、ジュピターの氷に覆われた衛星、エウロパの探査に向けて、宇宙の過酷な放射線環境に耐えるための準備を進めているとのことです。
NASAのジェット推進研究所（JPL）のスペースクラフト組立施設で行われた作業の一部として、2023年10月7日に探査機の「アーマー」の最終部分が封じ込められました。このアーマーとは、エウロパクリッパーの高度な電子機器を保護するために特別に設計された容器で、探査機がジュピターを周回する際に電子機器を保護します。
この探査機がジュピターの氷に覆われた衛星、エウロパに適した生命の条件があるかどうかを調査するためにジュピターを周回し始めると、宇宙最も厳しい放射線環境の一つを何度も通過することになります。その放射線から探査機を保護するためには、容易なことではありません。
エウロパクリッパーの副フライトシステムマネージャー、ケンドラ・ショート氏は、「アーマーの封鎖は大きなマイルストーンだ」と述べています。「これは、必要なすべてのものが内部に収められていることを意味します。我々はそれを閉じる準備ができています。」
このアーマーは、探査機の科学機器の電子機器を収容するためのアルミ製の容器で、厚さは約1センチメートルです。各電子部品を個別にシールドする代わりに、このアーマーは放射線環境を受け入れ可能なレベルに減らすよう設計されています。
ジュピターの巨大な磁場は地球の2万倍の強さがあり、惑星の10時間の自転周期と同期して高速で回転します。この磁場は、ジュピターの宇宙環境からの荷電粒子を捕捉し、加速させて強力な放射線ベルトを作り出します。この放射線は、その影響範囲内のすべてを破壊的な粒子で攻撃する一種の宇宙気象です。
探査機が2030年にジュピターに到着したとき、エウロパクリッパーはエウロパを直接周回するのではなく、ジュピター自体を広範囲に周回します。これは、惑星とその厳しい放射線から可能な限り遠ざかるための戦略です。その間、探査機は約50回エウロパを通過し、科学データを収集します。
その他の詳細については、NASAのウェブサイト（europa.nasa.gov）でご覧いただけます。