アメリカ航空宇宙局(NASA)の発表によると、国際宇宙ステーション(ISS)での微小重力環境を利用した研究が40年以上にわたって行われ、均一な結晶、半導体、特殊ガラス、光ファイバーなど、微小重力環境で製造することで品質が向上する素材が数多く同定されている。人工網膜やドラッグデリバリー医療機器、幹細胞やバイオインクの製造など、医療・生命科学分野への応用可能性も高い。最も可能性が高いのは、医薬品開発で用いる小分子結晶タンパク質の製造だ。
NASAの宇宙生産応用(InSPA)計画は、低軌道における微小重力環境を利用したサービスや製品の持続可能で拡張性の高い商業需要を創出し、地上での利用を可能にすることを目指している。
InSPAは、結晶成長の制御による医薬品開発への応用など、がん治療の加速に資する新規プロジェクトを重点支援対象としており、バイデン政権の「がんムーンショット計画」の目標達成に貢献する。
また、2022年成立のCHIPS法に基づき、半導体研究・開発・製造を支援する商務省の計画と連携し、半導体製造分野のInSPAプロジェクトを優先的に支援する。これにより、米国の半導体生産分野での指導力が確保される。
InSPAの支援対象は、「先進材料」と「組織工学・バイオ製造」の2分野に大別される。微小重力環境を利用した研究開発がさらに加速し、宇宙と地上の産業を結ぶ新たなイノベーションが期待される。
Source: https://www.nasa.gov/missions/station/applications-within-reach/