ヨーロッパ宇宙機関(ESA)は11月10日、小惑星探査機ヘラの音響試験が完了し、打ち上げ時の振動に耐えられることを確認したと発表した。試験はオランダのESTEC試験センターにある大型欧州音響試験施設(LEAF)で実施された。LEAFは154デシベルを超える極めて大きな音を発生できるヨーロッパ最大・最強の音響システムである。
ヘラのシステムエンジニアであるディエゴ・エスコリアル・オルモス氏は「打ち上げはヘラにとって最もストレスの大きい日になるので、振動試験に続いて、できる限り実際の環境に近い音響プロファイルで試験することで、その状況を模擬した」とコメントしている。
LEAFの試験室は、大型の音響ホーンが埋め込まれた壁を持ち、窒素ガスを通すことで154デシベルを超える大音量を発生できる。ヘラは試験時に通電状態とし、ソーラーパネルを体に巻きつけ、燃料タンクにヘリウム、窒素、水を充填した状態で試験室に設置された。試験では130個以上の加速度計とマイクロフォンを取り付け、計画通りの音量が得られることを確認した。
ESAの構造エンジニアであるサイモン・ウェント氏は「計算では十分にモデル化していたが、LEAFの大きな扉が閉まり、ホーンが作動する瞬間は緊張した」とコメント。音波がヘラの構造や機器に耐えられるかが確認できたとしている。
ヘラは2024年10月に打ち上げられ、2年後にディディモスとディモルフォスの小惑星系に到達する予定だ。ESAのヘラチーム、主契約者のOHB、ESTEC試験センターを運営するヨーロッパ試験サービスの尽力により、計画通り進捗しているという。
Source: https://www.esa.int/Space_Safety/Hera/Hera_asteroid_mission_hears_the_noise