アメリカ航空宇宙局(NASA)は15日、国際宇宙ステーション(ISS)に設置された冷却原子実験装置「コールドアトムラボ」により、2種類の原子からなる量子気体を初めて宇宙空間で生成することに成功したと発表した。

NASAによると、地上の冷却原子実験でこれまでにも2原子分子の「ふわふわした」状態は作られてきたが、3原子の分子状態は直接観測されたことがないという。しかし、微小重力環境下ではこの脆弱な分子がより長く存続し、さらに大きくなる可能性があるため、物理学者からはISSでの実験に大きな期待が寄せられている。

コールドアトムラボは量子力学が支配的な極低温状態の原子を研究することで、自然界の基本法則の解明や新しい量子技術の開発につなげることを目指している。2原子種の量子気体を生成できるようになったことで、個々の原子の量子性質だけでなく、異なる原子同士の相互作用を研究する「量子化学」も可能になったとしている。

NASAは今後、この新しい能力を生かして、アインシュタインの一般相対性理論の精密検証や、ダークエネルギーの正体解明につながる高精度重力センサーの開発など、宇宙空間ならではの量子実験を行う考えだという。

Source: https://www.nasa.gov/missions/station/iss-research/cold-atom-laboratory/nasas-cold-atom-lab-sets-stage-for-quantum-chemistry-in-space/