ヨーロッパ宇宙機関(ESA)は11月24日、新型小型静止衛星「HummingSat」の開発契約を衛星ペイロード・システムメーカーのSWISSto12社と締結したと発表しました。

HummingSatは、小さくて機動性が高く、なおかつ静止しているように見えるハチドリにちなんで名付けられた衛星シリーズで、ESAがSWISSto12社とパートナーシッププロジェクトとして共同開発しています。このプログラムの目的は、拡大する小型静止衛星のグローバル市場で、新たな衛星メーカーであるSWISSto12社が大きなシェアを獲得することです。

静止衛星メーカーの新規参入企業としては異例のことに、すでに4機のHummingSatが販売されています。1号機は衛星運用企業インテルサットに売却され、2026年にアリアン6ロケットで打ち上げられ、インテルサットのメディアおよびネットワーク顧客を支援します。残り3機はインマルサットに売却され、船舶と航空機の世界的な安全サービスと緊急通信を提供します。

産業用洗濯機ほどの大きさのHummingSatは、従来の静止衛星と比べてはるかに小型です。このため製造コストが安くなり、相乗り打ち上げで軌道に送ることができるため打ち上げコストも削減できます。SWISSto12社の画期的な3Dプリンティング技術により、ペイロード性能が向上し、製造プロセスが合理化され、製造期間とコストが削減されます。

ESAの通信衛星プログラム担当責任者であるハビエル・ベネディクト氏は、「HummingSatパートナーシッププロジェクトはESAにとってトレンドセッターとなる」と述べ、民間宇宙産業の成功企業であるSWISSto12社と手を携えて推進していることを強調しました。SWISSto12社は新たな衛星メーカーのプライムとして成長し、欧州のサプライチェーンを構築したとしています。

SWISSto12社のCEOで創業者のエミール・デ・リイク氏は、「ESAとの協力が、これまでの商業的、開発的な成功に不可欠だった」と述べ、プロジェクトは記録的なスピードで立ち上がり、HummingSatチームは大幅に拡大したと語りました。

契約調印は11月16日、ESA本部(パリ)で開催された通信衛星プログラム合同理事会で、22か国の政府代表団出席のもと行われました。HummingSatプロジェクトは、オーストリア、カナダ、ドイツ、オランダ、ノルウェー、ポーランド、スペイン、スウェーデン、スイスの9か国が支援しています。これは、ESAの通信システム先端研究プログラム(ARTES)の一環です。

Source: https://www.esa.int/Applications/Connectivity_and_Secure_Communications/HummingSat_a_new_chapter_in_space_innovation_unveiled