アメリカ航空宇宙局(NASA)が11月28日に発表したプレスリリースによると、NASAが運用するジェームズ・ウェッブ宇宙望遠鏡が、ペルセウス座の若い原始星を取り巻くヘルビッグ・ハロー天体797号(HH 797)の詳細な姿をとらえた。ヘルビッグ・ハロー天体は、新しく誕生した星(原始星)の周りにある輝く領域で、原始星から高速で噴出するガスのジェットが周囲のガスや塵と衝突してショック波を形成することで生じる。HH 797は本画像の下半分を占めており、ペルセウス暗黒雲複合体の東端近くに位置する若い散開星団IC 348に近接している。画像上部の明るい赤外線天体は、さらに2つの原始星を含むと考えられている。

この画像は、ウェッブ望遠鏡の近赤外線カメラ(NIRCam)によって撮影された。赤外線撮像は、最も若い星が形成されたガスと塵に包まれていることが多いため、新しく誕生した星とその流出物の研究に強力である。流出物の赤外線放射は、ガスと塵による遮蔽を突き抜けて観測できるため、ヘルビッグ・ハロー天体はウェッブの高感度赤外線装置による観測に理想的である。励起された分子、特に分子水素や一酸化炭素は、流出の構造を可視化する赤外線を放出し、ウェッブが収集できる。NIRCamは、衝撃によって励起された高温(数千度)の分子を観測するのに特に適している。

地上観測により、HH 797に関連する冷たい分子ガスは、遠ざかる(赤方偏移)ガスのほとんどが南側に、近づく(青方偏移)ガスが北側にあることがわかっている。また、流出の東側と西側の端では、原始星から同じ距離でもガスの速度に勾配があることも発見された。過去の天文学者はこれを流出の自転によるものと考えていた。しかし、この高解像度のウェッブ画像では、1つの流出と思われていたものが実際には2つのほぼ平行な流出とそれぞれの衝撃波の系列からなることがわかった(これが速度の非対称性を説明する)。以前の観測で既に知られていた源は、単一ではなく連星であることが明らかになった。各星はそれぞれ劇的な流出を生み出している。この画像には、右上の原始星からの流出や、その照らされたキャビティ壁など、他の流出も見られる。

HH 797は、2022年9月にウェッブ画像リリースの特徴となったHH 211のすぐ北(約30秒離れて)に位置している。

Source: https://www.nasa.gov/missions/webb/webb-telescope-a-prominent-protostar-in-perseus/