ヨーロッパ宇宙機関(ESA)が11月28日に発表したプレスリリースによると、気候変動による影響が懸念される南極大陸で、海水温の上昇により氷河の後退が加速していることが新たな科学的知見で明らかになった。

ESAによると、衛星データを解析した研究チームは、西南極半島のキャドマン氷河で、海に突出する棚氷が崩壊し、異常なほど温暖化した海水に氷河が露出することで、氷河の流速が上昇し急速に後退していることを発見した。

リーズ大学のベンジャミン・ウォリス氏らの研究チームは、ESAのクライオサットやコペルニクスのセンチネル1など9つの衛星と現地観測データを組み合わせて解析し、2018年11月から2021年5月の間に、過去50年間安定していたキャドマン氷河が8キロも後退したことを突き止めた。

研究チームは、2018-2019年の西南極半島周辺の海水温の異常な高さがキャドマン氷河系の劇的な変化を引き起こしたと結論づけている。ESAによると、氷河から海に流れ出す氷の量は1年で21億トンに達しており、氷河の高さは年20メートルのペースで減少しているという。

ESAは、「南極の氷床はこれまで気候変動の直接的影響をある程度回避できると考えられていたが、新たな研究結果は再び、気候危機が南極にも打撃を与えていることを示している」とコメント。気候変動枠組条約第28回締約国会議(COP28)を前に、警鐘を鳴らした形だ。

Source: https://www.esa.int/Applications/Observing_the_Earth/Copernicus/Sentinel-1/Warming_ocean_causing_rapid_glacier_retreat