アメリカ航空宇宙局(NASA)は11月29日、低軌道商業開発プログラムの一環として、小規模企業2社が熱シールド技術、貨物輸送システム、宇宙船・宇宙ステーションの保護材の開発を進めていると発表した。

コロラド州リトルトンのカノピー・エアロスペースと、カリフォルニア州サンタモニカのアウトポスト・テクノロジーズの2社は、国際宇宙ステーションや将来の商業宇宙ステーションでの利用を目指し、新たな熱シールド製造技術と貨物輸送システムの開発で進展を遂げた。

NASAのジョンソン宇宙センター商業低軌道開発プログラムのアンジェラ・ハートマネージャーは、「これらのプロジェクトは、成長しつつある商業宇宙産業をNASAがどのように支援しているかを示す良い例だ」と述べ、企業同士が連携してNASAのニーズに対応し、NASAを低軌道の顧客の1つに位置づけることで、新規顧客獲得にもつなげていると語った。

両社は、NASAの宇宙技術ミッション本部が資金提供するSBIR(小規模ビジネスイノベーション研究)契約を通じて、NASAの商業低軌道開発プログラムと連携している。ともに、NASAのミッション需要に合致した商業的に実現可能な技術アイデアを有する小規模企業を対象としたSBIRイグナイトパイロットプログラムの一環である。

カノピー・エアロスペースは、セラミック熱シールドの製造システム開発でNASAと協力している。宇宙空間では極端な熱と冷え込みに耐える必要があり、低軌道から地球大気圏再突入時には3000度を超える高温にさらされる。スペースシャトル時代から続くTPS技術を発展させたRHAMプラットフォームにより、熱シールドの量産を実現し、商業宇宙市場のコスト削減とリードタイム短縮、ミッション能力向上に貢献する。

一方、アウトポスト・テクノロジーズは、カーゴフェリーと呼ばれる再使用可能な貨物輸送システムの開発でNASAと協力している。ソーラーアレイ、展開式熱シールド、ロボットパラグライダーなどを搭載し、宇宙ステーションから地球に貨物をより頻繁に輸送できる。商業宇宙ステーションの有効活用に資する革新的ソリューションと期待される。

NASAは、低軌道での商業サービス利用により、コスト削減を図りつつ月面有人ミッション等に注力していく方針だ。

Source: https://www.nasa.gov/humans-in-space/commercial-space/leo-economy/nasa-small-companies-eye-new-cargo-delivery-heat-shield-technologies/