ヨーロッパ宇宙機関(ESA)が11月30日に発表したプレスリリースによると、地球温暖化対策に衛星観測が重要な役割を果たしていることが強調された。

ESAは、国連環境計画(UNEP)の新しい報告書を引用し、パリ協定の現在の削減目標では21世紀末の地球温暖化は2.5-2.9°Cになると指摘。1.5°C目標の達成にはより強力な気候変動対策が必要不可欠だとしている。

12月にドバイで開催される国連気候変動枠組条約第28回締約国会議(COP28)では、初の「地球温暖化対策の世界的な点検」が行われる。ESAのシモネッタ・ケリ事長は、「この点検は真実の瞬間だ」とコメント。「衛星観測は地球全体を継続的にモニタリングできる唯一の手段で、気候変動対策に不可欠な情報を提供する」と述べた。

ESAは温室効果ガス排出量の正確な報告が重要だと指摘。国連気候変動枠組条約(UNFCCC)に報告される国別排出量目録は、排出係数や統計に基づいているが、これを衛星観測データなどで検証することが推奨されている。ESAの研究プロジェクトでは、衛星と数値モデルを組み合わせて排出量を推定し、国別目録の精度向上に役立てている。

新しいCO2Mミッションなど、将来の観測衛星は温室効果ガスのより高密度な観測を可能にする。これにより、各国の脱炭素化対策の進捗状況を独立した情報源で評価できるようになり、2023年の点検や2028年の次回点検に資する情報を提供できると期待されている。

Source: https://www.esa.int/Applications/Observing_the_Earth/Space_for_our_climate/Taking_climate_action_with_Earth_observation