ヨーロッパ宇宙機関(ESA)は12月4日、地球温暖化対策の国際会議「COP28」が開催されているドバイで、気候変動観測衛星「TRUTHS」の開発を次の段階に進める契約を英エアバスと結んだと発表した。

TRUTHSは気候変動観測の「金本位」となることを目指しており、政策決定者が気候変動対策に使うデータへの信頼性を高めることが期待されている。

ESAは衛星から地球に送られてくるデータの精度をできる限り高める努力をしている。しかし、特に気候変動対策に不可欠なデータについて、空からの測定が本当に正確なのか確信が持てない場合もある。

TRUTHSはこの疑問を払拭することを目的としている。ESAは英国など6か国の参加の下、地球監視計画の一環としてこの衛星を開発している。

TRUTHSは太陽から地球に入射する放射と、地球から宇宙に反射される放射を国際単位系(SI)にトレーサブルな測定を行い、他の衛星データの校正や気候モデルの高精度化に資する。

2030年の打ち上げを目指し、ESAはこの新しいコンセプトの衛星開発を慎重に段階的に進めている。今回の契約では衛星と観測機器の設計に焦点を当てた新たなフェーズに移行し、主要技術の実証モデル製作や性能解析などを行う。

ESAの地球観測プログラム責任者シモネッタ・ケリ氏は、「気候変動対策には信頼できるデータが極めて重要で、TRUTHSは他衛星の基準となる」とコメント。エアバスのジャン・マーク・ナスル氏も、「科学者がより正確な分析を短期間で行えるようになる重要なミッションだ」と歓迎した。

TRUTHSは2つの主要観測機器を搭載し、入射光と反射光を連続観測する。エネルギー収支の正確な把握は気候変動理解・監視に不可欠で、TRUTHSはその「金本位」を目指している。

Source: https://www.esa.int/Applications/Observing_the_Earth/TRUTHS/Contract_secures_next_step_for_TRUTHS_climate_mission