アメリカ航空宇宙局(NASA)のステニス宇宙センターは12月11日、将来の探査上段ロケット(EUS)の総合システム試験「グリーンラン」に向けた準備として、セドリック・コクラン試験施設のB-2スタンドに重量14トンの大型ディフューザー4基をクレーンで吊り上げて設置した。

ディフューザーはEUSの熱火力試験中にエンジンの排気を車両の感度の高いシステムから遠ざけるために設計された重要な構成部品である。

新型EUSはニューオーリンズのミシュード組立施設で製造されており、オリオン宇宙船やより重いペイロードを深宇宙に送り出すため、より強力なSLSロケットの第2段として開発されている。EUSはステニス宇宙センターでのグリーンラン試験を経てシステムの飛行準備が整ったことを実証した後、アルテミス4ミッションで初飛行する予定である。試験シリーズはEUSを動かす4基のRL10エンジンによる熱火力試験で締めくくられる。

ステニスのチームは12月11日、EUSがSLSロケットの一部として月やその先のアルテミスミッションに使用される前のグリーンラン試験の準備として、B-2スタンドに大型ディフューザーを吊り上げて設置した。

実際の飛行時にはEUSの重要なシステムはSLSの間段によって保護される。グリーンラン試験中にこれらのシステムを保護するために、チームは実際のSLS間段のサイズと重量を再現した間段シミュレーターと接続したディフューザーを使用している。

このシステムは高精度が求められる。ディフューザーはフレキシブルなシールを介してEUSのエンジンノズルに接続されるため、試験中に必要な推力方向制御(ギンバル)が可能となる。また、推進剤の接続を容易にし、必要に応じてエンジン区域へのアクセスをテストチームに提供するように設計されている。

炭素鋼製のディフューザーは、NASAステニスとジェイコブス・エンジニアリングの共同チームが、計算モデル、スケールモデル試験、過去のデータを用いて精密に設計した。ユニットはテネシー州コロンビアのカスタム・スティール・ファブリケーターズで製造され、トラックでNASAステニスに配送された。

スタンドへの吊り上げと設置後、ディフューザーシステムは施設の水と油圧供給に接続される。システムの最終チェックには、スタンド全体の水流動作確認が含まれる。

Source: https://www.nasa.gov/centers-and-facilities/stennis/nasa-stennis-continues-preparations-for-future-artemis-testing/