アメリカ航空宇宙局(NASA)は12月14日、発明家ウィリス・キャリアがNASAの風洞設備の冷却システム設計に協力した経緯を発表しました。
発表によると、キャリアは空調の発明者として知られ、1942年初めにNASAの高高度風洞と着氷研究風洞の冷却システム設計の依頼を受けました。当時、第二次世界大戦下でアメリカは航空機エンジンの高高度性能改善が急務であり、これらの風洞完成が国益上重要視されていました。しかし、数百万立方フィートの空気を摂氏マイナス47度まで冷却するシステム設計は困難を極めました。
キャリアは専門知識を駆使して冷却コイルの設計などに取り組み、1943年夏までに高高度風洞の冷却システムを完成。1944年2月から本格運用が開始されました。この風洞は、第二次世界大戦時のB-29爆撃機のエンジン冷却問題解決などに大きく貢献しました。一方、着氷研究風洞も1944年夏に完成し、航空機の着氷試験などに利用されています。
キャリアの冷却システムは、NASAの風洞施設に革新的な技術をもたらしました。1987年、アメリカ機械学会は着氷研究風洞を歴史的工学ランドマークに認定。キャリアのシステムは「史上最も困難で重要な冷凍システムの一つ」と評価しています。