ヨーロッパ宇宙機関(ESA)は12月20日、軽量かつ高強度の炭素繊維強化プラスチック(CFRP)を使った将来のロケット燃料タンクの開発プログラム「Phoebus」の試験結果を発表した。

ESAによると、Phoebusプログラムはアリアン6やベガCなどのペイロードフェアリングに使われているCFRPをさらに活用し、ロケットの液体燃料タンクや構造体にも適用することを目指している。CFRP製のタンクを使用すれば、金属製の従来タンクと比較して大幅に軽量化できるため、ロケットの打ち上げ能力の向上が期待できる。

Phoebusのタンクはこれまでに複数の試験に耐え抜いている。10月には気密性能試験に合格し、液体窒素を-196°Cに冷やした状態で13バールの圧力に耐えた。12月にはドイツの軍事試験場で液体酸素との反応性試験もクリアした。ESAの担当マネージャーは「酸素タンクの試験は完全な成功で、タンクは完璧に耐え抜いた」とコメントしている。

今後はアリアン6に搭載可能な全長4メートルの実物大タンクの製造や、液体水素タンクとの組み合わせ試験などを行う計画だ。ESAはCFRP製の軽量タンクをアリアン6の新型上段に使用することを最終目標としている。

Source: https://www.esa.int/Enabling_Support/Space_Transportation/Future_space_transportation/Tough_tests_no_problem_for_carbon-fibre_cryo_fuel_tanks