アメリカのNASAの発表によると、北極圏の温暖化に伴い、北極海から二酸化炭素が放出されていることがわかった。

カナダのマッケンジー川の河口付近のボーフォート海では、マッケンジー川から流れ込む有機物などにより、二酸化炭素の放出量が吸収量を上回っていることが、NASAのジェット推進研究所とマサチューセッツ工科大学の研究チームの調査で明らかになった。

研究チームは、過去20年間の衛星観測データを用いたシミュレーションモデルを開発し、マッケンジー川の流量変化がボーフォート海の二酸化炭素収支に及ぼす影響を解析した。その結果、マッケンジー川からの有機物の流入により、ボーフォート海では年間13万トンの二酸化炭素が放出されることがわかった。

北極圏では気候変動の影響により河川の流量が増加し、永久凍土などからの有機物の流出が加速している。一方で、海氷減少に伴う植物プランクトンの増加による二酸化炭素の吸収も期待されるなど、北極海の炭素循環には複雑な変化が生じている。今回の研究は、河川と海洋の交わる北極沿岸域の炭素循環を理解する上で重要な知見をもたらしたと言える。

Source: https://www.nasa.gov/earth/climate-change/as-the-arctic-warms-its-waters-are-emitting-carbon/