ヨーロッパ宇宙機関(ESA)の発表によると、アリアン6号ロケットの燃料となる水素の製造に、より持続可能な生産施設の建設が始まった。

アリアン6号は主エンジンと上段ロケットに液体水素と液体酸素を燃料として使用する。水素は地球上では希ガスであるため、現在フランス領ギアナではメタノールからの改質により生産されている。

ESAとフランス国立宇宙研究センター(CNES)は、ロケットの環境負荷を減らすべく、水の電気分解による太陽光発電式水素生産への転換を目指している。これにより、水素生産に伴う二酸化炭素排出量を5分の1に抑えることができる。

ESAとCNESは、2026年までにフランス領ギアナの宇宙基地で、太陽光発電式水電解による低炭素水素を供給する計画だ。「ヒグアーヌ」と名付けられたこのプロジェクトには、ソーラーファームと配管設備の建設費として4050万ユーロが投資される。また、将来的な拡張にも対応できる設計となっている。

稼働後、ヒグアーヌ施設は年間3000トン以上の二酸化炭素排出削減が見込まれており、アリアン6号の年9回の打ち上げニーズの最大12%を供給できる。

このプロジェクトは宇宙分野に留まらず、水素燃料電池自動車や発電機の水素燃料を供給することで、フランス領ギアナにおける低炭素車両と発電の移行に寄与する。また、水素ステーションと技術センターを設置することで、水素車両の燃料供給とメンテナンスを可能にする。

ESAとCNESは、2030年までに宇宙基地の90%を再生可能エネルギーで賄うという持続可能性目標の達成に向け、このプロジェクトは大きく貢献するとしている。

ESAのテディ・ペポネット部長は、「この施設は、開業時には炭素フリーな水素生産の輝かしい実例となるだろう。私たちは、より持続可能な未来のための模範を示したい」と述べた。

ヒグアーヌプロジェクトは2022年12月13日のコンソーシアム契約締結をもって本格始動した。2026年の完成を目指し、ESAとCNESのほか、4社の企業と3つの大学が参画している。

Source: https://www.esa.int/Enabling_Support/Space_Transportation/Green_hydrogen_for_Ariane_6_and_more