ヨーロッパ宇宙機関(ESA)の発表によると、ESAのプロバ3号ミッションを構成する2機の衛星がミリメートルスケールの高精度な飛行形態制御によって、これまで不可能とされていた宇宙ミッションを達成する。一方の衛星が作る影をもう一方の衛星に正確に投影し、太陽を遮蔽することで、長時間にわたり太陽大気の観測を可能にする。

プロバ3号の科学者チームはこのほど、ベルギーのアントウェルペン近郊で最終組み立て中の衛星を直接確認した。このチームのメンバーは来年4月に北米で起きる日食の際に、ミッションのために開発された機器のテストを行う予定だ。

2機の衛星は非常に小型だが、オキュルター(日食盤)衛星が太陽円盤を遮蔽することで、これまで観測が困難だった極めて微弱なコロナを撮像できるユニークなミッションコンセプトは、宇宙ミッションの新たな地平を切り拓くと期待されている。

プロバ3号は今年9月にインドのPSLVロケットで打ち上げられ、150m離れて飛行する2機の衛星が高精度な位置制御を行い、最大6時間にわたって人工日食を作り出す。これにより、日食の数分間という短時間の観測とは比較にならない長時間のコロナ観測データが得られることが期待されている。

Source: https://www.esa.int/Enabling_Support/Space_Engineering_Technology/Proba_Missions/Face_to_face_with_Sun-eclipsing_Proba-3