アメリカ航空宇宙局(NASA)は1月4日、火星の地下氷に含まれる有害な過塩素酸塩を分解する新技術「Detoxifying Mars: the biocatalytic elimination of omnipresent perchlorates」を発表した。

この技術は、合成生物学を利用して、過塩素酸塩を安全な塩化物と酸素に分解する細菌を火星環境に適応させることで、火星の氷から有害な過塩素酸塩を取り除き、飲料水やロケット燃料の製造に利用できるようにすることを目指している。

火星の地下氷には過塩素酸塩が含まれており、人体に有害で装置の腐食も引き起こすため、利用前に除去する必要がある。しかし、従来のろ過などの方法では大量の資材と電力を必要とする。そこでNASAは、細菌を利用して過塩素酸塩を分解する技術を開発した。

この技術は、乾燥した胞子として火星に持ち込み、着陸後に水と栄養分を加えて培養。生成した細菌が過塩素酸塩を分解する仕組みだ。従来のろ過などと比較して資材と電力を大幅に削減できるほか、過塩素酸塩を完全分解することが可能。

NASAは今後、この技術の実用化を進め、有人火星探査ミッションでの利用を目指す考えだ。地球の環境問題解決にも応用できる可能性がある。

Source: https://www.nasa.gov/general/detoxifying-mars/