アメリカ航空宇宙局(NASA)は3日、火星有人探査を可能にするための革新的な技術について発表した。

NASAによると、火星有人探査ミッションを成功させるためには、低軌道などの宇宙環境で長期間にわたって極低温の推進剤を保管できる能力が不可欠だ。例えば、高性能な核熱推進システムに使用される液体水素などの推進剤を、ミッションの前に戦略的な場所に配備しておくことができれば、有人火星移動車両の推進剤を迅速かつ安全に補給することが可能になる。

そこでNASAは、低軌道環境下で液体水素を沸騰ゼロで長期保管できる画期的な技術を提案した。この技術は、保管タンクの表面に電気発光冷却と呼ばれる冷却機構を搭載することで、外部からの熱入力を効率的に放出することを可能にする。この技術によって低軌道における沸騰ゼロの液体水素保管が実現すれば、有人火星ミッションのコストと複雑さを大幅に削減できると期待される。

NASAは今後、この革新的な技術の実証実験を行い、有人火星探査やその他の深宇宙探査ミッションにおける応用可能性を検証していく方針だ。

Source: https://www.nasa.gov/general/electro-luminescently-cooled-zero-boil-off-propellant-depots/