アメリカ航空宇宙局(NASA)は1月8日、チャンドラX線観測衛星とジェームズ・ウェッブ宇宙望遠鏡のデータを初めて組み合わせて、有名な超新星残骸カシオペヤA(Cas A)を調査したと発表した。NASAによると、この研究により、昨年4月にウェッブのデータで発見されたカシオペヤAの残骸内にある「グリーン・モンスター」と呼ばれる異常構造の起源を説明できる可能性が出てきたという。また、約340年前にカシオペヤAを作り出した超新星爆発に関する新しい詳細も明らかになったとしている。

複合画像には、チャンドラのX線データ(青)、ウェッブの赤外線データ(赤、緑、青)、ハッブル宇宙望遠鏡の可視光データ(赤と白)が含まれている。画像の外側の部分には、スピッツァー宇宙望遠鏡の赤外線データ(赤、緑、青)も含まれている。グリーン・モンスターの輪郭が2枚目の画像に見える。

チャンドラのデータは、破壊された星からの超新星残骸の熱いガスを示しており、ケイ素や鉄などの元素が含まれている。カシオペヤAの外側の部分では、爆発的に広がる衝撃波が、爆発の前に星から放出された周囲のガスにぶつかっている。X線は、衝撃波内の磁力線をまわるエネルギーの高い電子によって発生している。これらの電子は、カシオペヤAの外側領域や内部の一部で薄いアークとして光る。ウェッブは、熱いガスに包まれた塵からの赤外線放射と、はるかに低温の超新星残骸からの放射を強調している。ハッブルのデータは、視野にある星を示している。

NASAによると、チャンドラとウェッブの詳細な解析の結果、カシオペヤAの外側部分のフィラメントは、グリーン・モンスターのX線特性とよく一致し、超新星残骸内の鉄やケイ素よりも少ないことがわかった。これは、チャンドラの色付き画像からも明らかで、グリーン・モンスターの輪郭内の色は、鉄やケイ素の豊富な残骸よりもむしろ衝撃波と一致する。研究者らは、グリーン・モンスターは爆発した星の周囲の物質に衝撃波がぶつかることによって生成されたと結論づけており、これはウェッブのデータのみからの以前の提案を支持するものだとしている。

Source: https://www.nasa.gov/image-article/nasa-telescopes-chase-down-green-monster-in-stars-debris/