アメリカ航空宇宙局(NASA)の発表によると、1985年から2022年にかけてグリーンランドの氷河はこれまでの推定より2割多い約1140兆トンの氷を失った。NASAのジェット推進研究所が1月17日に発表した新たな衛星データの包括的分析で、グリーンランドの氷河の大半が有意に後退していることが明らかになった。氷山の海への流出も加速している。この氷の喪失は海面上昇には間接的な影響しか与えていないが、将来的に海洋循環に影響を及ぼす可能性がある。グリーンランドの氷河後退を包括的に調査した今回の研究は、1985年から2022年の間に収集された衛星データ24万件以上を解析している。207の氷河のうち、1985年以降に有意に後退したのは179で、変化がなかったのは27、わずかに前進したのは1つだけだった。氷の喪失の大半は、グリーンランド周辺の海面下のフィヨルドで発生した。古代の氷河氷で満たされていたこれらの深い沿岸の谷の多くは、海水で満たされるようになった。このため、割れて海に流れ出た氷は、直接的な海面上昇にはほとんど影響しなかった。しかし、この喪失は高地からの氷の流動を加速させ、海面上昇に寄与した可能性が高い。今回の研究は、これまで十分に考慮されてこなかった氷河末端の後退による氷の喪失を定量化している。

Source: https://www.nasa.gov/earth/climate-change/ice-glaciers/nasa-study-more-greenland-ice-lost-than-previously-estimated/