アメリカ航空宇宙局(NASA)は1月24日、第3回TechRise Student Challengeの勝者60チームを発表した。これは全米規模のコンテストで、学生に技術、科学、宇宙探査に関心を持ってもらうことを目的としている。勝者となった学生チームは、この夏にNASAの支援のもとで行われる予定のサブオービタル飛行テストに向けて、提案した科学技術実験を現実のものにしていく。
このコンテストは昨年8月からアメリカ国内の公立・私立・チャータースクールに在籍する6年生から12年生を対象に募集が行われ、46州と準州から490人以上の学生による60チームが勝者となった。彼らの実験は、アリゾナ州ツーソンのWorld Viewが運用する高高度気球か、ペンシルベニア州ピッツバーグのAstroboticが運用するロケット推進のXodiacランダーのいずれかで夏に実施される予定のサブオービタル飛行でテストされることになる。
NASA本部のDesai副部長は、「創造性と好奇心を育み、学生にSTEMのキャリアを目指してもらうことは、NASAにとって最も重要なミッションの1つだ」とコメントしている。TechRiseは学生が実際のペイロードを製作しながら実践的な知識を身につける貴重な機会であり、教育や初期のキャリアにおいて大きな経験となるだろう、としている。
勝者となった提案には、成層圏の環境が植物の種子に与える影響の調査や、宇宙放射線遮蔽材料のテスト、月面を模した地表の熱画像マッピングなど、さまざまな科学技術的課題が含まれている。各チームには実験装置の製作費1,500ドルとフライトボックス、Future Engineersからの技術サポート、夏のサブオービタル飛行での実験搭載が提供される。
高高度気球で実施される実験は、約7万フィートの高度で約4時間の飛行を経験し、地球大気の上層部、高線量放射線、地球の眺望などを体験することができる。一方、ランダーで実施される実験は、カリフォルニア州モハベの月面模擬地表で約2分間の飛行を行い、模擬月面の地形や隠された物体の情報収集が可能となる。
TechRiseは、地球の大気、地表、気候に対する理解を深めるとともに、宇宙探査、コーディング、電子工学、実験データの価値について学ぶ機会を学生に提供することを目的としている。