アメリカ航空宇宙局(NASA)は1月25日、月の南極域における月震と断層に関する研究結果を発表した。NASAが有人月面着陸を目指すアルテミス計画の候補地点近くで、月の内部が徐々に冷却し縮小することによって月震と断層が発生している証拠が示された。

スミソニアン研究所のトム・ワターズ氏らの研究チームは、月の表面下数キロメートル程度で発生する浅い月震が、南極域の既存の断層のずれや新たな逆断層の形成によって引き起こされる可能性があることをモデル計算で示した。これらの月震は、数十キロメートル離れた場所でも強い揺れを引き起こす可能性があるという。

月周回衛星ルナー・リコネサンス・オービターのカメラが検出した数千もの若い逆断層は、月の収縮によって生じる圧縮力で月の地殻が押しつぶされ、断層運動を起こすことで形成される。アポロ計画で設置された地震計は、南極域を震源とする強い浅い月震を記録している。

研究チームは、アルテミス3号の候補着陸地点の1つであるデ・ジェルラッシュ・リム2にある若い逆断層が、記録された月震と同規模の断層運動を引き起こした可能性を示した。また、南極域の地表の傾斜安定性をモデル化し、わずかな揺れでもレゴリスの地すべりを起こしやすい場所があることを突き止めた。

月の地震活動をより理解するには、新たな地震データが必要であると研究チームは主張している。2024年に打ち上げられるファーサイド・セイスミック・スイートなどのミッションにより、アポロのデータに加えて月の地震活動に関する知見が広がることが期待される。

Source: https://www.nasa.gov/earth/moon/shrinking-moon-causing-moonquakes-and-faults-near-lunar-south-pole/