アメリカのNASAの発表によると、

宇宙空間の微小重力環境がすべての生物や細胞の遺伝子発現に影響を及ぼすことがこれまでの分析で明らかになっている。エピジェネティクスは、この現象の解明に役立つ可能性がある。エピジェネティクスは、DNAの塩基配列そのものを変更することなく、遺伝子の活性を変化させるすべての過程を指す。

宇宙ステーションでは、日本のJAXAによるエピジェネティクスの実験が行われ、線虫が微小重力環境下でエピジェネティックな変化を経験し、その変化が次の世代に伝達されることが確認された。また、マウスの遺伝子発現パターンとその子孫のDNA変化に関する研究では、宇宙の微小重力環境への曝露によって起こる遺伝子の変化が特定された。

宇宙飛行士が長期ミッションで経験する骨量減少は、エピジェネティックな変化と関連していることがイタリアの研究で示唆されている。ヒト血液由来幹細胞を用いた研究では、微小重力下での骨細胞の形成に特定のエピジェネティックな変化が見られたという。

宇宙ステーションでは、エピジェネティックな変化をその場で検出できるツールが利用可能になったことで、エピジェネティクスに関する研究がさらに進展すると期待されている。科学者はこれらのツールを用いて、変化がリアルタイムで観察でき、次の世代にどのように伝達されるかを理解することができる。

宇宙環境下での生物の適応メカニズムや、地球上の過酷な環境に対する植物の育種への応用など、エピジェネティクスは宇宙生物学の重要な研究分野となっている。

Source: https://www.nasa.gov/missions/station/iss-research/station-science-101-epigenetics-research-in-space/