アメリカ航空宇宙局(NASA)は31日、月面での長期探査・活動のための小型原子力発電システム「Fission Surface Power Project」の初期設計段階を終えたと発表した。NASAは2022年に3社と500万ドルの契約を結び、少なくとも10年以上月面で稼働できる原子炉と発電システムの概念設計を委託。太陽光発電の制約を受けないこのシステムは、月の夜の14日間も途切れることなく電力を供給できるため、月面基地の長期運用に不可欠としている。

設計段階では40キロワットの発電能力、6トン以下の重量などの基本要件を設定。さらに10年間の無人運転も要求した。パートナー各社はこの要件に基づき、制御方法や燃料の種類など独自のアイデアを盛り込んだ設計案を提出。NASAはこれらの案を検討した上で、2025年からの本設計フェーズでの要件を設定するという。

原子炉の実証は2030年代初頭を予定しており、1年間の月面での試験運用後、9年間の本運用を経て火星探査での利用を目指す。月面での核分裂エネルギーの実用化は、太陽光発電の制約を受けない持続可能な人類活動の足掛かりとなることが期待されている。

Source: https://www.nasa.gov/centers-and-facilities/glenn/nasas-fission-surface-power-project-energizes-lunar-exploration/