ヨーロッパ宇宙機関(ESA)は2月1日、9月に打ち上げを予定している小型実証衛星「プロバ3」の運用支援のため、フランス国立宇宙研究センター(CNES)が開発した視覚化ツール「VTS」を活用すると発表した。

プロバ3は、軌道上でミリメートル単位の精度で相対的な位置関係を保ちながら飛行する2機の衛星から構成される。一方の衛星が他方の衛星に影を正確に投影することで、太陽のコロナを長時間にわたって観測できる。

ミッション管理者のDamien Galano氏によると、このような衛星の編隊飛行は自律制御されるが、軌道周期のうち一定時間は人間による監視が必要不可欠とのこと。しかし、テレメトリデータだけでは衛星の動的な位置関係が即座に把握できないため、リアルタイムの2D/3D視覚化が必要であると判断した。

そこで活用されるのが、CNESが所有しSpacebel社が開発したVTSである。VTSは視覚化ツールそのものではなく、視覚化ソフトウェアを含む複数のアプリケーションを時系列同期して統合するミドルウェア的な機能を持つ。プロバ3のチームは、VTSとシミュレータあるいは実機からのテレメトリデータをリアルタイムに連携させるコードを新たに開発することで、操作者が一目で衛星の動的関係を直感的に把握できるインターフェースを実現した。

VTSはこれまでにも多くのESAミッションで活用されており、プロバ3においてその有用性が再確認された形だ。CNESのThomas Crosnier氏は、「VTSは地球周回から太陽系探査ミッションまで、ミッションの様々な段階と側面に適用可能で、機能面でも進化を遂げている。プロバ3が最新のVTSを活用することを嬉しく思う」とコメントしている。

Source: https://www.esa.int/Enabling_Support/Space_Engineering_Technology/Proba_Missions/Picturing_Proba-3_for_safer_double_satellite_control