アメリカ航空宇宙局(NASA)の発表によると、雷雲からは通常の光の百万倍以上のエネルギーを持つガンマ線が一日に約1000回放出されていることが分かった。

これらのガンマ線放出は「地球ガンマ線フラッシュ」と呼ばれ、1ミリ秒以下の短さで発生する。ガンマ線は、中性子星やブラックホールなど非常にエネルギーが高い天体から放出されることが多い。しかし、雷雲からも放出されているのだ。

雷雲内では、上昇気流と下降気流によって雨や雪、氷が衝突し、静電気が発生する。雲の上部が正、下部が負に帯電することで、電池の両極のようになる。そして遂には絶縁効果を超えて放電が起こり、雷が発生する。

科学者は、雷によって雲内の電場が変化し、電子が光速に近い速度で雲の上部に向かって加速されると推測している。これが、地球上で最も強力な自然の粒子加速器となっているのだ。

加速された電子が大気分子にぶつかると、ガンマ線が放出される。つまり、雷雲は宇宙で最も高エネルギーの光を作り出していることになる。さらに、ガンマ線は反物質の陽電子を生成することもある。

NASAのフェルミガンマ線宇宙望遠鏡は、地球周回軌道上から3時間ごとに全天を走査している。この観測により、宇宙からのガンマ線フラッシュだけでなく、観測点直下500マイル(800km)以内の地球ガンマ線フラッシュも検出できる。

2008年から2018年の10年間で、フェルミは約5000回の地球ガンマ線フラッシュを観測した。しかし、実際には1日に1000回は発生していると考えられ、フェルミの観測範囲外のものが多数ある。雷雲は驚くべき高エネルギーの光を生み出していることが分かった。

Source: https://science.nasa.gov/universe/whats-made-in-a-thunderstorm-and-faster-than-lightning-gamma-rays/