アメリカのNASAの発表によると、2月下旬にNASAの民間月面輸送サービスプロバイダーであるIntuitive Machines社は、NASAの科学技術ペイロードを搭載したNova-C月面着陸船を打ち上げる。ペイロードには、NASAラングレー研究センターが宇宙技術ミッション局のもとで開発した革新的な誘導システム、ナビゲーションドップラーライダー(NDL)が含まれる。
NDL技術はIntuitive Machinesの商業月面ペイロードサービス(CLPS)配送のためのNASAペイロードであり、Intuitive Machinesが独自の航法・着陸システムを持っているため、ミッションの成功には不可欠ではないが、NASAはミッション中にNDLの能力を月面環境で実証する。
NDLはレーザーパルスを用いて速度と距離を正確に測定する誘導システムである。アルテミスミッションではNDLが乗員全員の安全な月面着陸を保証する。
NDLの開発は20年以上前にNASAラングレーのFarzin Amzajerdian博士がマーズローバーの精密な着陸方法を発見したことに始まる。1990年代後半から2000年代初頭のマーズへのローバー着陸では、レーダーの精度の低さが課題だった。
Amzajerdianはレーザーライダーの使用を提案。ライダーはレーザーパルスで目標を照らし、反射光を検出することで、レーダーより正確な速度と距離を測定できる。
2007年にプロトタイプの開発資金を獲得。その後、NASAラングレーのGlenn Hinesらが開発を推進。2022年にNASA発明賞を受賞した。
Intuitive Machinesとの配送はNDL開発の始まりに過ぎない。次世代システムも開発中で、完全な暗闇でも周囲の地形を調査できるフラッシュライダーカメラと組み合わせることで、「いつでもどこでも」着陸可能になる。
NDLは月面着陸だけでなく、自動運転車の航法にも利用できる可能性がある。月面到達はNDLを情熱的に推進してきたAmzajerdianとHinesらの長年にわたる努力の集大成となるだろう。